【BLファンタジー】双剣の英雄 第1話
気まぐれにBLファンタジー小説を連載することにしました。
ちなみに更新はめっちゃ気まぐれです。そのうちまとまった量が書けたら、なろう系とかに投稿するかもしれません。
まあ、わかんないけど……。
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第1話 喪失
『どうか――幸せになってね』
遠くかすかな優しい声が聞こえて、僕は眠りから覚めた。
「ここ……は」
かすれた声が他人事のように自分の喉から発せられた。
目の前には蒼穹。雲一つない青い空。
草のこすれる音が聞こえて、風が緩やかに肌をなでていく。
体が重く、うまく動けない。不自由な体でゆっくりと起き上がる。
「ここは、どこ?」
見覚えのない場所だった。視界の先には草に覆われた大地がどこまでも続くように見え、左に遠くかすかに森が見えている。
どうして、僕はこの場所で倒れていたのだろう?
目を瞬かせて周囲を見渡すものの、見覚えのあるものや、ヒントになるものは存在しない。
やわらかい草の上から起き上がり立ち上がる。
なにがなんだかわからない。わからないことすら、わからないわけではないが、それでも混乱するには事足りる出来事だった。
ここはどこだ。いまはいつだ。僕はどうしてここで倒れていたんだ。
そう、大体――……。
「――僕は誰だ?」
そうして、僕はやっと、『自分の記憶が大きく欠落している』ということに気が付いた。
広い草原の中、僕はふらふらと歩いていた。
行く当てなどない。大体、ここがどこかもわからないのに、目的地なんてあるはずもなく。だが、いつまでもここにいるわけにはいかないと思い、歩き出した。
とりあえず、見えていた森のふちに向かって歩く。草原のど真ん中だと、あまりにも目立って外敵に見つかるかもしれないと思ったのが理由だった。
あとは食料の問題だろうか? 森に行けば、食べられる草や実があるかもしれないという一か八かの賭け。そんなかすかな希望を持ちつつ、森の方向へと歩く。
体ひとつで倒れていたものだから、所持品も何もない。身に着けている衣服と装飾ぐらいが自分の持ち物だ。
肌触りが良い黒いフードのついたコートの下に、布素材の白いワイシャツ、赤いリボンネクタイ、黒いパンツあとは、革素材のベルト。
あとは、装飾品。金色のチェーンと緑色の透明な鉱石のペンダントに、金属製の腕輪が両腕に一つずつ。あとは、シンプルな素材の違う金属の指輪が右手に3つ、左手に3つ。
これらで、すこしでも自分の出自や立場がわからないかとも思ったが、記憶の無いポンコツな頭ではどうしようもないらしい。
僕はため息を吐いて、また歩き出した。
森が近づくにつれて、なにやら不穏な予感が頭をよぎった。
かすかに焦げ臭い。そして、今向かっている森より左側の草原のから遠目に煙のような物が出ていることに気が付いた。
「なんだ? 風に乗って臭いがここまで運ばれてきてるのか?」
僕はこのまま草原にいることは危険な気がして、森へと足早に向かう。そして、草原から森へ入ると、木々の影から煙の様子を伺った。
煙の方向をよく見ると、ぽつりぽつりと簡素な鎧を着た人らしき存在が数人見えた。
何をしているのだろうと注視すると、衝撃的な物が見えた。
倒れ伏した何かに向かって、鎧の人間は槍をふりかぶっては何度も倒れたなにかに突き刺して嗤っている。
倒れたなにかというのは、まぎれもない人間だ。
返り血を浴びながら、嗤い、他者を殺しても止まらないその残虐性に、思わず僕は後ずさる。
これは、見つかるとマズいことになりそうだ。とりあえず、ここから離れなければならない。
が、草原の方に歩くのは愚策だろう。あまりに目立ちすぎる。
ここは多少危険でも森の中を進むことにしよう。と、足早にその場を去った。
森の中はうっそうとしていて視界が悪く、進むたびに体力が削られていくような気がする。
それでも、まだまだ体力的には余力があるのが救いで、僕は蔦や草に足を取られないよう、注意しつつ進んでいた。
そんなときだ。微かに人が呻くような声が聞こえたのは。
俺は驚いてその方向をみるが、草や木々が邪魔してよく見えない。
僕はどうするか一瞬悩んだ。なにしろリスクがありすぎるからだ。
それでも、もしかしたら、何かの予感があったのかも知れない。この先にいる何かに僕の何かを変えるような何かがある気がして……。
僕は意を決して草を掻き分け、呻き声の主を探すことにした。
呻き声の主は案外あっさりと見つかった。
すこし開けた小さな広場のような場所で、推定年齢15歳くらいの少年が木の幹に体を預けて、気を失っていたのだ。
ちなみに更新はめっちゃ気まぐれです。そのうちまとまった量が書けたら、なろう系とかに投稿するかもしれません。
まあ、わかんないけど……。
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第1話 喪失
『どうか――幸せになってね』
遠くかすかな優しい声が聞こえて、僕は眠りから覚めた。
「ここ……は」
かすれた声が他人事のように自分の喉から発せられた。
目の前には蒼穹。雲一つない青い空。
草のこすれる音が聞こえて、風が緩やかに肌をなでていく。
体が重く、うまく動けない。不自由な体でゆっくりと起き上がる。
「ここは、どこ?」
見覚えのない場所だった。視界の先には草に覆われた大地がどこまでも続くように見え、左に遠くかすかに森が見えている。
どうして、僕はこの場所で倒れていたのだろう?
目を瞬かせて周囲を見渡すものの、見覚えのあるものや、ヒントになるものは存在しない。
やわらかい草の上から起き上がり立ち上がる。
なにがなんだかわからない。わからないことすら、わからないわけではないが、それでも混乱するには事足りる出来事だった。
ここはどこだ。いまはいつだ。僕はどうしてここで倒れていたんだ。
そう、大体――……。
「――僕は誰だ?」
そうして、僕はやっと、『自分の記憶が大きく欠落している』ということに気が付いた。
広い草原の中、僕はふらふらと歩いていた。
行く当てなどない。大体、ここがどこかもわからないのに、目的地なんてあるはずもなく。だが、いつまでもここにいるわけにはいかないと思い、歩き出した。
とりあえず、見えていた森のふちに向かって歩く。草原のど真ん中だと、あまりにも目立って外敵に見つかるかもしれないと思ったのが理由だった。
あとは食料の問題だろうか? 森に行けば、食べられる草や実があるかもしれないという一か八かの賭け。そんなかすかな希望を持ちつつ、森の方向へと歩く。
体ひとつで倒れていたものだから、所持品も何もない。身に着けている衣服と装飾ぐらいが自分の持ち物だ。
肌触りが良い黒いフードのついたコートの下に、布素材の白いワイシャツ、赤いリボンネクタイ、黒いパンツあとは、革素材のベルト。
あとは、装飾品。金色のチェーンと緑色の透明な鉱石のペンダントに、金属製の腕輪が両腕に一つずつ。あとは、シンプルな素材の違う金属の指輪が右手に3つ、左手に3つ。
これらで、すこしでも自分の出自や立場がわからないかとも思ったが、記憶の無いポンコツな頭ではどうしようもないらしい。
僕はため息を吐いて、また歩き出した。
森が近づくにつれて、なにやら不穏な予感が頭をよぎった。
かすかに焦げ臭い。そして、今向かっている森より左側の草原のから遠目に煙のような物が出ていることに気が付いた。
「なんだ? 風に乗って臭いがここまで運ばれてきてるのか?」
僕はこのまま草原にいることは危険な気がして、森へと足早に向かう。そして、草原から森へ入ると、木々の影から煙の様子を伺った。
煙の方向をよく見ると、ぽつりぽつりと簡素な鎧を着た人らしき存在が数人見えた。
何をしているのだろうと注視すると、衝撃的な物が見えた。
倒れ伏した何かに向かって、鎧の人間は槍をふりかぶっては何度も倒れたなにかに突き刺して嗤っている。
倒れたなにかというのは、まぎれもない人間だ。
返り血を浴びながら、嗤い、他者を殺しても止まらないその残虐性に、思わず僕は後ずさる。
これは、見つかるとマズいことになりそうだ。とりあえず、ここから離れなければならない。
が、草原の方に歩くのは愚策だろう。あまりに目立ちすぎる。
ここは多少危険でも森の中を進むことにしよう。と、足早にその場を去った。
森の中はうっそうとしていて視界が悪く、進むたびに体力が削られていくような気がする。
それでも、まだまだ体力的には余力があるのが救いで、僕は蔦や草に足を取られないよう、注意しつつ進んでいた。
そんなときだ。微かに人が呻くような声が聞こえたのは。
俺は驚いてその方向をみるが、草や木々が邪魔してよく見えない。
僕はどうするか一瞬悩んだ。なにしろリスクがありすぎるからだ。
それでも、もしかしたら、何かの予感があったのかも知れない。この先にいる何かに僕の何かを変えるような何かがある気がして……。
僕は意を決して草を掻き分け、呻き声の主を探すことにした。
呻き声の主は案外あっさりと見つかった。
すこし開けた小さな広場のような場所で、推定年齢15歳くらいの少年が木の幹に体を預けて、気を失っていたのだ。
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